ダイエットを始めて3ヶ月。
食事の量を減らすようになった。
ある日の夕食。
いつもより少なめにご飯をよそうと、母が言った。
「え、それだけ?もったいないじゃない」
その一言が、心に引っかかった。
母にとって「もったいない」は、食べ物を大切にする気持ち。
でも私にとっては、「もっと食べろ」というプレッシャーに聞こえた。
「お腹いっぱいだから」と答えると、 「若いんだから、ちゃんと食べなきゃダメよ」と続く。
母は心配してくれているんだと分かってる。
でも、その優しさが今の私には重かった。
祖母はもっと直接的だった。
「そんなに食べないで、体壊すわよ」
「もともと細いんだから、ダイエットなんてしなくていいのに」
私が「細い」?
鏡を見るたびに、自分の体型が気になっているのに。
家族の言う「細い」と、私の感じる「太い」は、こんなにも違うんだ。
弟は無邪気に言った。
「姉ちゃん、最近機嫌悪くね?」
確かに、食事を制限してから、イライラすることが増えた。
家族との食事が、楽しいはずの時間から、 苦痛な時間に変わってしまっていた。
ある晩、父がぽつりと言った。
「お前が元気なら、それでいいんだけどな」
その言葉を聞いて、ハッとした。
家族は私の体型を気にしているんじゃない。
私の健康と、笑顔を心配していたんだ。
でも、私はそれが分からないくらい、 ダイエットに必死になっていた。
今は、家族と食事をする時は、 あまり神経質にならないようにしている。
「もったいない」と言われても、 「ごめんね、今日はこれくらいにしとく」と笑って返せるようになった。
完璧なダイエットよりも、 家族と笑って食べられる食事の方が、 私にとっては大切なんだと気づいた。
まだ体重は理想には届いていないけれど、 食事の時間が少しずつ楽しくなってきた。
それだけで、十分かもしれない。
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